健康維持・大腸がんの基礎知識

大腸がんになりやすい人の習慣と、リスクを下げる食事・運動

公開日: 2026-09-13 · 約8分で読めます

ヒロ

執筆・編集:ヒロ

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この記事の要点

  • 大腸がんは2023年に15万4,039例が新たに診断され、2024年には5万4,416人が亡くなっています。
  • 国立がん研究センターは、喫煙・飲酒・高身長が大腸がんのリスクを高めることを「確実」と評価しています。肥満も危険性を高める要因に挙げられています。
  • 一方で運動はリスクを下げることが「ほぼ確実」、食物繊維カルシウムは「可能性あり」とされています。
  • 診断から5年後の生存率は全体で69.9%。ただし、がんが大腸にとどまっているうちに見つかれば94.3%、離れた臓器に広がってからだと17.6%と、大きな差があります。
  • 国の指針では、40歳以上は年1回の便潜血検査が勧められています。

大腸がんは、日本で最も多く診断されるがんのひとつです。一方で、生活習慣との関わりがよく調べられていて、早く見つかれば治療の見込みが高いがんでもあります。

この記事では、国立がん研究センターの統計と評価、世界保健機関(WHO)の見解、厚生労働省の指針という一次資料だけをもとに、なりやすくする習慣、年齢との関係、生存率、そして日々の食事と運動で何ができるかを整理します。

大腸がんはどれくらい多いのか

まず全体の規模です。いずれも国立がん研究センター「がん情報サービス」が公表している全国の統計です。

項目男女計男性女性
新たに診断された数(2023年)154,039例85,208例68,830例
亡くなった数(2024年)54,416人28,826人25,590人
診断から5年後の相対生存率(2018年診断例)69.9%71.0%68.4%

人口10万人あたりでみると、新たに診断される率は男性140.9、女性107.8で、男性のほうがやや多い傾向です。

何歳から増えるのか

大腸がんは年齢とともにはっきり増えるがんです。2023年の全国がん登録から、人口10万人あたりの罹患率(男女計)を年代別に抜き出しました。

年齢人口10万人あたり
35〜39歳14.7
40〜44歳25.1
45〜49歳41.5
50〜54歳67.1
55〜59歳107.5
60〜64歳159.7
65〜69歳225.9
70〜74歳310.6
75〜79歳348.2
80〜84歳383.5

40代前半と60代前半を比べると、およそ6倍です。40代後半から増え始め、50代以降で一気に多くなるという形です。国の大腸がん検診が40歳以上を対象にしているのは、この増え方と対応しています。

なりやすくする生活習慣と体質

国立がん研究センターは、日本人を対象にした研究をまとめて、生活習慣とがんの関係を「確実」「ほぼ確実」「可能性あり」などの段階で評価しています。大腸がんについての主な評価は次のとおりです。

要因大腸がんとの関係評価の出どころ
喫煙リスクを高める:確実国立がん研究センター(2020年に「確実」へ更新)
飲酒リスクを高める:確実国立がん研究センター(2008年に「確実」へ更新)
高身長リスクを高める:確実(大腸・結腸)国立がん研究センター(2024年に「確実」へ更新)
肥満危険性を高める国立がん研究センター がん情報サービス
赤肉(牛・豚・羊など)リスクを高める:可能性あり国立がん研究センター
加工肉・赤肉(女性)危険性を高める可能性国立がん研究センター がん情報サービス
糖尿病と関連する指標リスクを高める:可能性あり国立がん研究センター
炎症性腸疾患危険性を高める国立がん研究センター がん情報サービス
家族の病歴関わりがある(家族性大腸腺腫症・リンチ症候群の家系では近親者に多い)国立がん研究センター がん情報サービス

身長のように自分では変えられない要因もありますが、喫煙と飲酒は「確実」とされる中で、自分の意思で変えられる代表です。お酒については、当サイトの「健康に安全な飲酒量はない」は本当かもあわせてどうぞ。

加工肉と赤肉:WHOの評価と数字

世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、2015年に次のように分類しました。

WHOの解説によると、10件の研究をまとめた分析では、毎日50gの加工肉を食べるごとに大腸がんのリスクが約18%高まると推定されています。赤肉については証拠がそれほど強くないとしたうえで、因果関係が証明された場合には毎日100gごとに17%高まりうる、としています。

ここで注意したいのは、これがリスクの相対的な上がり方だという点です。「食べたら大腸がんになる」という意味ではありません。グループ1という分類も「がんを起こす証拠がどれだけ確かか」を示すもので、危険の大きさそのものを示すものではない、とWHO自身が説明しています。

リスクを下げるとされる習慣

反対に、リスクを下げる方向の評価もあります。

習慣評価
運動(体を動かすこと)リスクを下げる:ほぼ確実(とくに結腸がん)
食物繊維リスクを下げる:可能性あり
カルシウムリスクを下げる:可能性あり

また国立がん研究センターは、がん全般について、禁煙・節酒・バランスのよい食事・活発に体を動かすこと・適正な体形の維持が、日本人を対象とした研究で有効とわかっているとしています。大腸がんのリスク要因とほぼ重なる内容です。

食生活でできること

運動でできること

評価が「ほぼ確実」とされているのが運動です。特別な競技である必要はなく、国立がん研究センターの表現も「活発に身体を動かすこと」です。

運動は体重の管理にもつながるため、肥満という別のリスク要因にも同時に働きかけられます。

生存率:見つかったときの広がり方で大きく変わる

全国がん登録にもとづく、2018年に診断された人の5年相対生存率を、診断時のがんの広がり方ごとに示します(男女計)。

診断時の広がり5年相対生存率診断された人のうちの割合
限局(がんが大腸にとどまっている)94.3%45.6%
領域(近くのリンパ節や隣の臓器に広がっている)74.5%28.4%
遠隔(肝臓・肺など離れた臓器に転移している)17.6%19.1%
全体69.9%

大腸にとどまっているうちに見つかれば、5年後の生存率は9割を超えます。一方、離れた臓器に広がってからでは2割を下回ります。いつ見つかるかが、結果を大きく左右することがわかります。

「相対生存率」とは、がん以外の原因で亡くなる影響をできるだけ取り除き、がんによってどれだけ命が失われるかをみる指標です。なお、ここでの数字は診断された時点からの生存率で、手術を受けた人だけに限った数字ではありません。また過去に診断された人のデータなので、治療の進歩により、これから治療を受ける人には当てはまらない可能性があります。

手術のあと:再発率と経過観察

国立がん研究センターのがん情報サービスによると、手術のあとの再発率は、最初に見つかったときのステージ(病期)によって異なります。

粘膜内にとどまるがん(ステージ0)は、完全に切除すれば再発することはほとんどないとされています。そして再発する人の85%以上は手術後3年以内に、95%以上は5年以内に見つかっています。手術後に一定期間、定期的な検査が続くのはこのためです。

手術に向けた体づくりについては、がん手術前2週間の自宅筋トレは意味があるかで研究を紹介しています。

検診:40歳から年1回の便潜血検査

厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」で、大腸がん検診の方法が定められています。

結果が「要精密検査」となったら、必ず精密検査(通常は大腸内視鏡検査)を受けてください。厚生労働省によると、要精密検査となった人のうち実際に大腸がんが見つかる割合は3.02%、およそ33人に1人です。多くは結果的にがんではありませんが、その「33人に1人」を見逃さないための検査です。

また、1回の検診で見つからないこともあるため、毎年受けることが勧められています。

気をつけたい症状

早い段階では、自覚症状はほとんどありません。進行すると、次のような症状があらわれることがあります。

こうした症状が続く場合は、次の検診を待たずに医療機関を受診してください。検診は症状のない人を対象にしたものです。

この記事の数字について

出典(一次資料)

よくある質問

大腸がんは何歳からなりやすくなりますか?

2023年の全国がん登録では、人口10万人あたりの罹患率は40〜44歳で25.1、60〜64歳で159.7と、40代後半から増え始め50代以降で大きく増えます。国の大腸がん検診も40歳以上を対象にしています。

加工肉は食べないほうがよいのですか?

WHOの専門機関は加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」グループに分類し、毎日50g食べるごとに大腸がんのリスクが約18%高まると推定しています。これはリスクの相対的な上がり方で、食べたら必ず大腸がんになるという意味ではありません。毎日の定番にしない、量を意識するといった調整が現実的です。

大腸がんの生存率はどのくらいですか?

2018年に診断された人の5年相対生存率は全体で69.9%です。がんが大腸にとどまっているうちに見つかれば94.3%、離れた臓器に転移してからでは17.6%と、見つかった時の広がり方で大きく変わります。

大腸がん検診では何をしますか?

厚生労働省の指針では、40歳以上の男女を対象に、年1回、問診と便潜血検査を行います。便は2日分採ります。要精密検査となった場合は、通常は大腸内視鏡検査を受けます。

運動は大腸がんのリスクを下げますか?

国立がん研究センターは、運動が大腸がん(とくに結腸がん)のリスクを下げることを「ほぼ確実」と評価しています。特別な競技である必要はなく、日常的に体を動かすことが基本です。

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