「16時間断食」「隔日断食」「5:2ダイエット」――一口に断食ダイエットといっても種類はさまざまで、いったいどれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。SNSでは「これが一番痩せる」という声があふれていますが、本当のところはどうなのでしょうか。
2025年、世界的に権威のある医学誌『BMJ』に、この疑問に正面から答える大規模な研究が発表されました。さまざまな断食法を一度に比べた、これまでで最も網羅的な分析のひとつです。
医学誌『BMJ』(2025年6月)に掲載された、システマティックレビューおよびネットワークメタ分析。99件のランダム化比較試験・成人6,582人のデータを統合し、「隔日断食(ADF)」「時間制限食(TRE)」「週内断食(WDF)」「継続的なカロリー制限(CER)」「自由摂取」を相互に比較しました。ネットワークメタ分析は、直接比べた試験がない方法どうしも間接的に順位づけできる手法です。
まず用語を整理:4つの食べ方
比較された主な方法を、ざっくり整理しておきましょう。
- 隔日断食(ADF):1日おきに、ほとんど食べない日と普通に食べる日を繰り返す
- 時間制限食(TRE):1日のうち食べてよい時間帯を区切る(例:16時間断食=8時間以内に食事)
- 週内断食(WDF):週のうち特定の日だけ大幅に食事を減らす(例:5:2ダイエット)
- 継続的カロリー制限(CER):毎日まんべんなく摂取カロリーを減らす、いわゆる王道の食事制限
減量効果の「順位」はこうなった
自由に食べる場合(自由摂取)と比べた、体重の減り方は次のとおりでした。
| 方法 | 体重変化(自由摂取との差) | 確実性 |
|---|---|---|
| 隔日断食(ADF) | 約 −3.4kg | 高い |
| 週内断食(WDF) | 約 −2.4kg | 高い |
| カロリー制限(CER) | 約 −2.1kg | 中程度 |
| 時間制限食(TRE) | 約 −1.7kg | 中程度 |
最も大きく減ったのは隔日断食(ADF)でした。さらに、ADFは王道のカロリー制限(CER)と直接比べても約1.3kg多く減量したと示されています。「断食はやっぱり効く」と言いたくなる結果です。
体重以外の数値はどう動いたか
研究では、体重だけでなく心臓や血管に関わる数値も調べられています。隔日断食は時間制限食と比べて、総コレステロールや悪玉系(non-HDL)コレステロールを中程度、中性脂肪をわずかに下げ、最高血圧もわずかに低下させる傾向が見られました。
一方で、HbA1c(血糖の長期指標)や善玉(HDL)コレステロールには、はっきりした関連は見られませんでした。空腹時血糖やインスリン抵抗性の改善もごくわずかにとどまっています。つまり「断食ですべての数値が劇的に良くなる」わけではない、というのが正直なところです。
大事な注意点:差は小さく、長期では薄れる
ここが今回いちばん冷静に受け止めたいポイントです。順位こそ付きましたが、方法どうしの差は数百グラム〜1kg台と、決して大きくありません。研究チーム自身も、断食はおおむね通常のカロリー制限と同程度の効果であり、特別に優れているとは言い切れないと結論づけています。
さらに重要なのは、減量効果が24週(約半年)以上の長期試験ではうすれる傾向があった点です。ADFの優位性は主に短期間の試験で見られたもので、長く続けたときにどれだけ体重を維持できるかは、まだ十分な証拠がありません。証拠の確実性もGRADE評価で「低い〜高い」とばらつき、多くは「中程度」でした。
まとめ:一番は「続けられる方法」
今回の研究が教えてくれることを整理しましょう。
- 減量効果は隔日断食>週内断食>カロリー制限>時間制限食の順だが、差は小さい
- 断食はおおむね通常のカロリー制限と同程度。魔法のダイエットではない
- 効果は短期で大きく、長期ではうすれる傾向がある
- コレステロールや血圧には軽い改善、血糖の長期指標には明確な効果なし
数字の上では隔日断食が一歩リードしましたが、毎日おきに「ほとんど食べない日」を続けるのは、多くの人にとって現実的ではありません。むしろ大切なのは、自分の生活に無理なくなじみ、半年・1年と続けられる方法を選ぶこと。手軽さで人気の時間制限食については、16時間断食は本当に痩せる?2025年・女性612人の研究でも詳しく解説しています。あわせて読むと、自分に合った一歩が見えてくるはずです。
※本記事は『BMJ』(2025年)に掲載されたネットワークメタ分析を一般向けに要約したものです。効果には個人差があり、ここで示した数値は平均的な傾向です。糖尿病で薬を使っている方、妊娠・授乳中の方、成長期の方、摂食障害の既往がある方などは、自己判断で断食を始めず、必ず医師にご相談ください。