「ザクロジュースで心臓もアンチエイジングも」――そんな広告を見たことはありませんか。アメリカの高級ジュース「ポムワンダフル(POM Wonderful)」は、そのうたい文句で大きな人気を集めた一方、誇大な健康表示をめぐって規制当局と争った代表例として知られています。今回は、企業が自社製品の販促のために出資した研究の読み方を、この事例から考えます。
ポムワンダフルの製造会社は、ザクロジュースの健康効果を示すために自社で多額の研究費を投じたと報じられています。広告では「心臓病・前立腺がん・ED(勃起不全)に効く」といった趣旨の表現が使われました。これに対し米FTC(連邦取引委員会)が調査に入りました。
何が主張され、どう判断されたか
会社側は、自社が資金提供した研究データを根拠に、ザクロジュースの幅広い健康効果を主張しました。しかしFTCは2013年、これらの主張は科学的根拠が不十分で、消費者を誤解させるものだと判断し、医学的な効果をうたう広告の中止を命じたと報じられています。会社は表現の自由などを理由に争いましたが、裁判所もおおむねFTCの判断を支持し、上訴も退けられました。
ザクロ自体は「悪者」ではない
誤解しないでほしいのは、ザクロという果物そのものが否定されたわけではない点です。ザクロにはポリフェノール(プニカラギンなど)が豊富で、抗酸化に関わる成分として研究が続けられています。問題は、「成分に可能性がある」ことと「ジュースを飲めば病気が治る・防げる」ことの間にある大きな隔たりを、広告が飛び越えてしまった点にあります。
この事例では、効果の根拠とされた研究の多くに製品を売る企業自身が資金を出していたとされています。資金提供があるだけで結果が誤りとは限りませんが、販促目的の研究では都合のよい部分が強調されやすいという指摘があります。誰が出資したのか、独立した第三者でも同じ結果が出ているのかを確かめることが大切です。
私たちはどう受け止めるか
「○○が△△に効く」という強い表現を見たら、ひと呼吸おいて出典と資金源を確かめる――それだけで、情報に振り回されにくくなります。なお、この主張に対する独立した研究からの反証は、こちらの記事で詳しく取り上げます。
※本記事は公表された規制当局の判断や報道をもとにした情報提供で、特定の商品や企業を非難・推奨する目的のものではありません。食品の効果には個人差があり、病気の診断・治療・予防を保証するものではありません。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。