分割法トレーニング · 第7回 持久力

分割法トレーニング⑦|持久力トレーニングの科学と実践〜長く動ける体をつくる心肺と筋肉の鍛え方

公開日: 2026-07-28 · 約9分で読めます

ヒロ

執筆・編集:ヒロ

ボディメイク・筋力トレーニング/体組成分析/減量・栄養・睡眠を、科学的エビデンスと実体験から発信。

運営者・執筆方針について →
シェア

分割法シリーズ第7回のテーマは「持久力」です。階段で息が切れない、休日に長時間歩いても疲れにくい、トレーニングのセット間で回復が速い——持久力は、競技者だけでなくすべての人の生活の質と、筋トレそのものの質を底上げする土台です。今回は、持久力の正体と、筋トレと両立させながら効率よく高める方法を解説します。

この記事の要点

  • 持久力は「全身持久力(心肺)」と「筋持久力(局所)」の2本立て
  • 土台はゾーン2、上積みはテンポ走・インターバルで
  • 筋トレとの両立は「筋トレ先行・高強度は1日1種類」が原則
  • 週90〜150分の中強度有酸素が、生活の質と筋トレの質を支える

持久力の正体——2つのエンジンを理解する

持久力はひとつの能力ではなく、大きく2つに分けられます。

  • 全身持久力(心肺持久力):心臓・肺・血管が酸素を全身に届け、筋肉がそれを使ってエネルギーを生み出す能力。指標としては最大酸素摂取量(VO2max)が代表的で、体力の総合指標として広く用いられています。
  • 筋持久力:特定の筋肉が、繰り返しの負荷にどれだけ耐えられるかという局所的な能力。高回数のスクワットや長い坂道で脚が「乳酸で焼ける」感覚は、こちらの領域です。

この2つは鍛え方が異なります。全身持久力は心臓と酸素運搬系への刺激(有酸素運動)で、筋持久力は対象の筋肉への高回数刺激で高まります。

なぜ筋トレ民にも持久力が必要なのか

「筋肥大が目的だから有酸素は不要」という考え方がありますが、これは半分だけ正しく、半分は誤解です。適度な有酸素能力があると、①セット間の回復が速くなり、同じ時間でこなせるトレーニングの質が上がる、②毛細血管やミトコンドリアの発達により、栄養と酸素が筋肉に届きやすくなる、③心血管系の健康という土台が守られる、という利点があります。問題になるのは「過剰な持久系トレーニングが筋肥大の伸びを抑える」可能性がある干渉効果ですが、これは長時間・高頻度のランニングを筋トレと同日に重ねるような場合の話で、週数回・中強度・30〜40分程度の有酸素運動であれば、多くの人にとって干渉より恩恵が上回ります。

持久力トレーニングの基本4メソッド

1. LSD/ゾーン2トレーニング(土台づくり)

「会話ができる程度」の楽なペースで30〜60分続ける有酸素運動。ウォーキング、ジョギング、バイクなど種目は問いません。強度の目安は最大心拍数の約60〜70%。地味ですが、ミトコンドリアや毛細血管といった有酸素エンジンの土台を育てる王道メソッドで、持久系アスリートのトレーニングの大部分もこの強度帯で行われています。

2. テンポ走/閾値トレーニング(きつさの境界を押し上げる)

「ややきつい。会話は途切れがち」というペースを10〜20分維持する方法。楽に動けるペースの上限(乳酸性作業閾値)を引き上げることで、同じ距離・同じ坂が以前より楽に感じられるようになります。週1回で十分です。

3. インターバルトレーニング(VO2maxへの刺激)

きつい運動と休息を交互に繰り返す方法。例えば「3分速く動き、2〜3分ゆっくり回復」を4〜5本。心肺機能の上限値に強い刺激が入ります。強度が高いため、土台ができてから週1回を上限に導入しましょう(高強度短時間型のHIITについては、次々回・第9回で詳しく扱います)。

4. サーキットトレーニング(筋持久力+心肺)

スクワット→腕立て→ロウ→プランクのように複数の筋トレ種目を休憩を最小限にして回す方法。筋持久力と心肺への刺激を同時に得られ、時間効率に優れます。重量は軽め、フォームが崩れない範囲で15〜20回×3〜4周が目安です。

実践メニュー例

導入期(運動習慣が少ない人)

  • 週2〜3回:早歩き〜軽いジョグ 20〜30分(会話できるペース)
  • 週1回:自重サーキット(スクワット・腕立て・プランク各15回×2周)

発展期(筋トレと両立する人)

  • 週2回:ゾーン2有酸素 30〜40分(筋トレとは別日、または筋トレ後)
  • 週1回:テンポ走 or インターバル(3分×4本)
  • 筋トレの補助:セット間休憩を計画的に短縮する種目を一部導入(例:仕上げ種目を休憩60秒で15回×3セット)

筋トレと有酸素を両立させる3つのコツ

  1. 順番は「筋トレ→有酸素」:同日に行う場合、先に有酸素で疲労すると筋トレの質が落ちます。筋力・筋肥大を優先するなら筋トレを先に。
  2. 高強度同士を同日に重ねない:脚の日とインターバル走を同じ日にすると回復が追いつきません。高強度は1日1種類が原則です。
  3. 心拍数という「ものさし」を持つ:感覚だけに頼らず、心拍計やスマートウォッチで強度を確認すると、「頑張りすぎて毎回きつい」「楽すぎて刺激にならない」の両方を防げます。目標心拍数の計算には、当サイトのミニアプリ「カルボーネン法シミュレーター」も活用してください。

継続のための現実的な視点

持久力は、筋力以上に「やめると落ちるのが速い」能力です。逆に言えば、週合計90〜150分程度の中強度の有酸素運動を淡々と続けるだけで、体力の土台は着実に維持・向上します。完璧な計画より、生活に組み込める形——通勤の一駅歩き、休日の早朝ウォーク、筋トレ後の15分バイク——を選ぶことが、結局いちばんの近道です。

まとめ

  • 持久力は「全身持久力(心肺)」と「筋持久力(局所)」の2本立て
  • 土台はゾーン2、上積みはテンポ走・インターバルで
  • 筋トレとの両立は「筋トレ先行・高強度は1日1種類」が原則
  • 週90〜150分の中強度有酸素が、生活の質と筋トレの質を支える

次回・第8回は「脂肪燃焼トレーニング」。エネルギー消費の仕組みから、体脂肪管理を目的とした運動の組み立て方を解説します。

※本記事は一般的なトレーニング情報の提供を目的としています。効果には個人差があり、持病のある方や痛みを感じた場合は、医師や専門家にご相談ください。

よくある質問

筋肥大が目的でも有酸素運動はしたほうがよいですか?

適度な有酸素能力はセット間の回復を速め、毛細血管やミトコンドリアの発達で栄養と酸素が届きやすくなるなどの利点があるとされています。週数回・中強度・30〜40分程度であれば、多くの人にとって干渉効果より恩恵が上回ると考えられています。

ゾーン2トレーニングとは何ですか?

「会話ができる程度」の楽なペース(最大心拍数の約60〜70%目安)で30〜60分続ける有酸素運動です。ミトコンドリアや毛細血管といった有酸素エンジンの土台を育てる方法とされ、持久系アスリートの練習の大部分もこの強度帯で行われています。

筋トレと有酸素運動を同じ日に行うときの順番は?

筋力・筋肥大を優先する場合は「筋トレ→有酸素」の順が基本とされています。先に有酸素で疲労すると筋トレの質が落ちるためで、脚の日とインターバル走のように高強度同士を同日に重ねないことも原則とされています。

関連記事

この記事が参考になったら、下のバナーで応援いただけると励みになります

にほんブログ村 50代の健康 PVアクセスランキング にほんブログ村

▶ 健康の豆知識ランキングも見る

参考文献

  1. Garber CE, et al. American College of Sports Medicine position stand. Quantity and quality of exercise for developing and maintaining cardiorespiratory, musculoskeletal, and neuromotor fitness in apparently healthy adults. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2011;43(7):1334–1359.
  2. Wewege M, et al. The effects of high-intensity interval training vs. moderate-intensity continuous training on body composition in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis. Obesity Reviews. 2017;18(6):635–646.
  3. Boutcher SH. High-intensity intermittent exercise and fat loss. Journal of Obesity. 2011;2011:868305.
  4. Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British Journal of Sports Medicine. 2018;52(6):376–384.

※ 本記事は上記を含む科学的知見と実務経験をもとに、一般的な情報として編集したものです。個別の健康状態やトレーニング可否については医師・専門家にご相談ください。

読んだら、次の一歩へ

この記事の内容を、あなたの体づくりに落とし込むための導線です。

← 記事一覧へ戻る トップへ