「注目トレーニー名鑑」第3回は、海を渡って世界のスーパースターを紹介します。クラシックフィジーク部門でオリンピア6連覇という前人未到の記録を打ち立て、頂点のままステージを去った生ける伝説、Chris Bumstead(クリス・バムステッド)、通称「CBum(シーバム)」です。
この記事の要点
- クラシックフィジーク部門でオリンピア6連覇(2019〜2024)の生ける伝説
- 21歳でプロカード取得、2度の準優勝を糧に頂点へ。頂点のまま勇退
- フォロワー1,000万人超。等身大の発信で世界のフィットネス人口を増やした立役者
- 現在はRAW Nutritionのグローバル展開などブランドオーナーとして新章を疾走中
何者か——現代に蘇った「黄金時代の美」
ボディビル最高峰の大会ミスター・オリンピアには、サイズの極限を競うオープン部門とは別に、アーノルド・シュワルツェネッガーに代表される黄金時代の美しいプロポーションを競う「クラシックフィジーク」という部門があります。この部門の歴史を語るとき、絶対に外せないのがバムステッドです。細く絞られたウエストから大きく広がる背中、均整の取れた脚、そして芸術品のようなポージング。「クラシック」という言葉の理想像を現代に体現し、部門そのものの人気を世界規模で押し上げた立役者です。
実績——オリンピア6連覇という金字塔
1995年、カナダ・オタワ生まれ。学生時代はフットボールやバスケットボール、陸上に打ち込む万能アスリートでした。ウェイトトレーニングに出会うと急速に頭角を現し、2014年、弱冠19歳でコンテストデビュー。2016年にはIFBB北米選手権を制し、わずか21歳でプロカードを獲得します。
オリンピアのクラシックフィジーク部門には2017年に初出場していきなり準優勝。2018年も準優勝と涙を呑みますが、2019年、ついに王者を破って初戴冠を果たします。そこからの強さは圧巻の一言でした。2019年から2024年まで6年連続優勝。挑戦者たちが年々レベルを上げるなか、王者自身がそれを上回る進化を続け、一度も王座を明け渡すことなく6連覇を達成したのです。そして2024年10月、6度目の優勝の舞台で勇退を表明。その後、オープン部門のプロ大会に一度だけ挑戦して準優勝という驚異的な結果を残し、頂点に立ったまま競技の第一線を退きました。負けて去るのではなく、頂点で自ら幕を引く——アスリートとして理想的なキャリアの締めくくり方でした。
人気の理由——強さと等身大の人柄の両立
バムステッドのInstagramフォロワーは1,000万人を大きく超え、YouTubeチャンネルも数百万人規模。ボディビル界の枠を超えた、世界で最も有名なフィットネスアイコンの一人です。人気の源泉は、圧倒的な肉体だけではありません。トレーニングの苦悩や減量のリアル、メンタル面の話までも率直に語る等身大の人柄が、若い世代を中心に絶大な共感を集めてきました。「完璧な王者」ではなく「努力を積み重ねる一人の人間」としての発信が、フィットネスを始める世界中の若者の背中を押し続けています。彼に憧れてジムに通い始めた人の数は、それ自体がひとつのレガシーと言えるでしょう。
現在——「ステージは引退、努力は現役」
引退後のバムステッドは、むしろ活動の幅を広げています。共同経営者を務めるサプリメントブランド「RAW Nutrition」をグローバル展開し、アパレルやコーチングを含むライフスタイルブランドへと成長させる構想を公言。自身のプライベートジムも開設し、「ステージからは引退したが、努力からは引退していない」という言葉どおり、引退後も驚くほど仕上がった肉体を維持し続けています。その姿があまりに見事なため、ファンやレジェンドたちの間では「いつか復帰するのでは」という期待の声が絶えません。パートナーは元ビキニ・オリンピア王者のコートニー・キング。夫婦でウェルネスやバランスの取れたフィットネスを発信する姿も、多くのファンに愛されています。
私たちが学べるポイント
- 「大きさ」より「バランス」という価値観:彼の肉体が証明したのは、サイズの追求だけが正解ではないということ。均整・絞り・姿勢の美しさは、一般トレーニーが目指す体づくりの指針としても健全で現実的です。
- 2位から始まった6連覇:2年連続の準優勝を経ての戴冠は、「負けをどう次に活かすか」の教科書です。停滞期にこそ思い出したいキャリアです。
- 習慣は引退しない:競技を退いてもトレーニングを続ける姿は、「体づくりは大会やイベントのためではなく、人生のためのもの」というシリーズ全体のメッセージと重なります。
まとめ
- クラシックフィジーク部門でオリンピア6連覇(2019〜2024)の生ける伝説
- 21歳でプロカード取得、2度の準優勝を糧に頂点へ。頂点のまま勇退
- フォロワー1,000万人超。等身大の発信で世界のフィットネス人口を増やした立役者
- 現在はRAW Nutritionのグローバル展開など、ブランドオーナーとして新章を疾走中
次回は日本に戻り、日本ボディビル選手権9連覇・世界選手権制覇の絶対王者、鈴木雅さんを紹介します。
※本記事の情報は2026年7月時点の公開情報に基づいています。最新の活動状況は各公式チャンネル・アカウントをご確認ください。