「飲むコラーゲンで肌がプルプルに」――ドラッグストアの棚にも、ネットの広告にも、そんな言葉があふれています。でも、本当に効くの?と心のどこかで疑っている方も少なくないはずです。
2025年、医学誌『The American Journal of Medicine』に、この疑問に正面から切り込む大規模なメタ分析が発表されました。その結論は、私たちに「効く・効かない」という単純な話ではない、もっと大切なことを教えてくれます。今回はこの研究を、賛否両論もふくめてフラットにご紹介します。
医学誌『The American Journal of Medicine』(2025年)に掲載された、システマティックレビューおよびメタ分析(著者:Myung氏・Park氏)。23件のランダム化比較試験・合計1,474人のデータを統合し、コラーゲンサプリが肌の「うるおい・ハリ(弾力)・シワ」に与える影響を検証したものです。
全体では「効果あり」、でも…
まず、23の試験をすべてまとめて解析した段階では、コラーゲンを摂ったグループでうるおい・ハリ・シワのいずれにも改善が見られました。これだけ聞くと「やっぱり効くんだ」と思いますよね。
ところが、研究チームがここで終わらせなかったところに、この分析の価値があります。彼らはデータを「研究の質」と「資金源」で分けて、もう一度くわしく見直したのです。
「質の高い研究」だけを見ると効果が消えた
分け直した結果は、なかなか衝撃的でした。
- 質の高い(厳密な)研究に絞ると、うるおい・ハリ・シワのどれにも明確な効果は見られなかった
- 業界(メーカー側)の資金提供を受けた研究では良い効果が報告される一方、独立した研究では効果が見られない傾向があった
この結果をもとに研究チームは、「現時点で、肌の老化を予防・改善するためにコラーゲンサプリの使用を支持する明確な臨床的根拠はない」と結論づけました。全体では効果があるように見えても、信頼性の高い研究に限ると効果がはっきりしない――それが彼らの主張です。
ただし、これには強い反論もある
公平を期すために、ぜひ知っておいてほしいことがあります。この結論に対しては、業界団体などから少なからぬ反論が出ているのです。
- 「異なる種類のコラーゲンを一括りにして比較しており、公平でない」
- 「資金源や用量・期間の分類に誤りがある」
- 「他の多くのメタ分析では、コラーゲンの効果が示されている」
- 「論文の要旨では“有意な効果あり”と書きながら、結論で“根拠なし”としており矛盾がある」
つまり、科学者の間でもまだ決着がついていないテーマなのです。「効果がはっきり証明されたとは言い切れないが、無意味と断定もできない」――これが今、いちばん誠実な受け止め方だといえるでしょう。
この研究が教えてくれる本当の教訓
コラーゲンが効くかどうか以上に、この一件には大切な学びがあります。それは、「健康情報は、結論だけでなく“研究の質”と“誰が資金を出したか”まで見て判断する」ということ。
同じテーマでも、研究のつくり方しだいで結果は変わります。広告や口コミの「効いた!」という声をそのまま信じるのではなく、一歩引いて「それはどんな研究にもとづいているのか」と問う姿勢が、私たちを賢い消費者にしてくれます。健康情報との向き合い方は、マルチビタミンで体内年齢は若返る?という記事でも触れています。
肌のために「確実にできること」
サプリの是非が議論されている一方で、肌の老化を抑える方法としてはっきり支持されている基本もあります。まずはこちらを土台にしたいところです。
- 紫外線対策:日焼け止めは、肌老化を防ぐ最も確実な手段の一つ
- 禁煙:喫煙は肌のハリやくすみに直接影響する
- 十分な睡眠:肌の修復は眠っている間に進む
- バランスの良い食事:タンパク質やビタミンを含む食事が材料になる
コラーゲンサプリを楽しみとして続けるのは、もちろん個人の自由です。ただ「これさえ飲めば」と過度に期待するより、まずこうした基本を整えること。肌づくりの材料となるタンパク質については、タンパク質で整える美肌・美髪・代謝もあわせてご覧ください。
※本記事は『The American Journal of Medicine』(2025年)に掲載されたメタ分析と、それをめぐる報道・各団体の見解を一般向けに要約したものです。特定の商品の効果を保証・否定するものではありません。サプリメントの利用や肌の悩みについては、医師・薬剤師にご相談ください。