研究ノート・ひざの痛みと筋トレ

ひざの痛みは筋トレで軽くなる?日本の12の研究

公開日: 2026-11-01 · 約20分で読めます

ヒロ

執筆・編集:ヒロ

ボディメイク・筋力トレーニング/体組成分析/減量・栄養・睡眠を、科学的エビデンスと実体験から発信。

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この記事の要点

  • 日本の試験では、家でできる足の筋トレをした人のひざの痛みは、痛み止めやヒアルロン酸注射を使った人と同じくらい軽くなったと報告されています(①②)。
  • ただし、この記事で読む日本の7つの試験は、どれも「運動をしない人」と比べていません。運動そのものの力がどれだけあるかは、日本の試験だけでは分かりません。
  • 「運動をしない人」と比べた海外139試験の統合分析(⑬)では、痛みの差は100点満点で約9〜13点でした。著者は、意味のある差かどうかははっきりしないと慎重です。
  • 高重量の筋トレを1年半続けた海外の試験(⑭)では、勉強会に通っただけの人と痛みに差がありませんでした。高重量にすれば痛みが軽くなる、とは言えません。
  • 日本の試験(⑤)では筋トレでひざの痛みが強まった人が12.0%いました。重い副作用はありませんでしたが、やり方の調整は必要です。

始める前に

急にひざが腫れた、熱を持っている、けがのあとから痛い、ひざが動かなくなる、夜も痛む、といった場合は、筋トレで様子を見ずに整形外科を受診してください。この記事は治療の指示ではありません。

ひざが痛くなると、「太ももを鍛えなさい」と言われることがよくあります。日本整形外科学会の一般向けの解説でも、変形性膝関節症(=ひざの軟骨がすり減って痛みや変形が起きる病気)の予防として、ふとももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることが挙げられています(日本整形外科学会「変形性膝関節症」)。

では、筋トレで本当に痛みは軽くなるのでしょうか。痛み止めと比べるとどうなのか。どのくらいの重さで、週に何回やるのか。そして、やることで悪くなる人はいないのか。

この記事では、日本の研究者による12の研究(試験7つ、別の試験の追加解析1つ、複数の試験をまとめた統合分析2つ、住民調査2つ)を読み、最後に海外の大規模な2つの資料で答え合わせをします。

読む一次資料

#資料(掲載誌)中身入手性
①Doi T, et al. Am J Phys Med Rehabil 2008;87(4):258-269日本の複数の医療機関。ひざの痛みのある142人。太ももの筋トレ(家で)と痛み止めを8週間比較要旨のみ(Europe PMC)
②Kawasaki T, et al. J Orthop Sci 2009;14(2):182-191順天堂大学。女性102人。家での運動とヒアルロン酸注射を24週間比較要旨のみ(Europe PMC)
③Kawasaki T, et al. J Bone Miner Metab 2008;26(3):279-287順天堂大学。女性142人。家での運動にグルコサミンや骨の薬を足して18か月要旨のみ(Europe PMC)
④Kudo M, et al. J Orthop Sci 2013;18(6):932-939札幌医科大学。女性209人。教室に通う運動と家での運動を比較要旨のみ(Europe PMC)
⑤Mitoma T, et al. Age Ageing 2025;54(8):afaf224岡山大学など。65歳以上の女性75人。3か月の筋トレに女性ホルモンの塗り薬か偽薬を足す全文(PMC12342371)
⑥Kanazawa H, et al. Medicine (Baltimore) 2026;105(42):e51197順天堂大学。閉経後の女性88人。24週間の家での運動にビタミン剤を足す全文(PMC13681127)
⑦Katagiri N, et al. Sci Rep 2025;15(1):39992順天堂大学など。65〜80歳の126人。4週間の家での運動に電気刺激か偽の刺激を足す全文(PMC12618572)
⑧Iijima H, Aoyama T. Med Sci Sports Exerc 2024;56(12):2267-2274京都大学など。50人の試験の追加解析。太ももの筋トレで痛みが軽くなりやすい人は誰か要旨のみ(Europe PMC)
⑨Tanaka R, et al. Clin Rehabil 2013;27(12):1059-1071広島国際大学など。8試験の統合分析。筋トレと有酸素運動の比較要旨のみ(Europe PMC)
⑩Tanaka R, et al. J Phys Ther Sci 2014;26(7):969-975同じグループ。17試験の統合分析。運動の頻度と期間全文(PMC4135217)
⑪Muraki S, et al. BMC Musculoskelet Disord 2015;16:305東京大学など(ROAD研究)。東京都板橋区と和歌山県の住民2152人の調査全文(PMC4609096)
⑫Harada K, et al. J Aging Phys Act 2015;23(1):1-8国立長寿医療研究センターなど。高齢者1351人の調査要旨のみ(Europe PMC)
⑬Lawford BJ, et al. Cochrane Database Syst Rev 2024;12:CD004376オーストラリアなど。139試験・12,468人の統合分析(海外の検証)全文(PMC11613324)
⑭Messier SP, et al. JAMA 2021;325(7):646-657米国。377人。高重量・低重量の筋トレと運動をしない勉強会を18か月比較(海外の検証)全文(PMC7887656)

①②③④⑧⑨⑫は要旨しか読めていません。数値は読めた範囲で書き、書かれていないことは補っていません。⑬は全文が公開されていますが、数値は要旨の部分から取りました。

設計:まず「比べた相手」を見る

ひざの痛みの試験を読むときに一番大事なのは、何と比べたかです。痛みは本人が答える数字で、次の理由でも軽くなると考えられているからです。

そのため、この記事では試験を「運動と他の治療を比べたもの」「全員が運動をして、足したものを比べたもの」「運動をしない人と比べたもの」に分けて読みます。

結果①:痛み止めや注射と比べると、同じくらい軽くなった

#比べたもの期間結果
①家での太ももの筋トレ(63人) vs 痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬、58人)8週間どちらも全ての尺度でよくなり、変化の差は有意でなし
②家での運動 vs ヒアルロン酸注射(合計102人、平均70.4歳)24週間3つの尺度で同じようによくなり、差は有意でなし
④教室に通う運動(81人) vs 家での運動(122人)要旨に記載なし教室のほうが、痛みと機能の尺度が有意に大きくよくなった

①の著者は「太ももの筋トレは痛み止めに劣らない」と結論しています。日本人を対象にした試験で、薬と同じくらいという結果は心強いものです。ただし、次の点に注意が必要です。

④は同じ運動でも、教室に通うほうが大きくよくなったという結果です。人に見てもらうこと、人と一緒にやることの違いが出た可能性があります。ただし要旨からは、その理由までは分かりません。

結果②:全員が筋トレをした試験では、足して差が出たのは電気刺激だけ

次の4つの試験は、全員が運動をしたうえで、薬やサプリメント、電気刺激を足すかどうかを比べたものです。ここでは「運動だけ(または運動+偽物)」の人の変化を見ます。

#運動の内容「運動だけ」の人の変化足したものの効果
③家での運動、18か月要旨に数値なし(全ての群で痛みと機能がよくなった)グルコサミン・骨の薬ともに足した分の差なし
⑤週3回(教室1回+家で2回、家での回は25分)、3か月椅子から立ち上がる回数(30秒間)15.58→17.37回/痛みの点数 −5.03点(開始時27.26点)/足の筋力 +2.56N/kg女性ホルモンの塗り薬は主要な評価で差なし(P=.16)
⑥毎日2回・3種目(足を伸ばして上げる、横向きで足を上げる、ひざでボールを挟む)、24週間20人:痛み(0〜100)53.5→29.8点/ひざの質問票の合計 33.6→17.0点/太ももの筋力 15.9→20.7kgf/10m歩行 9.19→7.76秒活性型ビタミンD・ビタミンEとも差なし
⑦1日20分・週5日、4週間偽の刺激の人:痛み(0〜10)5.24→3.91、さらに4週間後3.35/痛いほうのひざを伸ばす力 241.75→252.68Nで有意な変化なし電気刺激の人は痛み 5.67→2.84、ひざを伸ばす力 235.56→294.92Nと、より大きく変化(有意)

読み取れることが3つあります。

1つ目は、「足しても差が出にくい」こと。③⑤⑥では、薬やサプリメントを足しても主要な評価に差はありませんでした。③の著者は、グルコサミンなどに効果があったとしても運動の効果を超えるものではなかった、という趣旨で考察しています。ただし⑤は、下位の解析で早い段階のひざでは差がある可能性にも触れており、著者自身が探索的な結果だと書いています。⑦の電気刺激だけは差が出ましたが、4週間の短い試験で、早い段階のひざの人に限られています。

2つ目は、⑦で筋力が増えないまま痛みが軽くなっていること。偽の刺激の人は4週間で筋力に有意な変化がなかったのに、痛みは5.24から3.91へ下がっていました。ここから「筋力がついたから痛みが軽くなった」と単純には言えないと考えられます(ただし、偽の刺激自体の影響や自然な変化も混ざっています)。

3つ目は、⑤の1年後です。筋トレのプログラムが終わって9か月後、偽薬の人の痛みは開始時との差が+0.09点と、ほぼ元の数字に戻っていました。一方で、立ち上がりの回数は+1.63回を保っていました。参加者が終了後に運動を続けていたかは、読めた範囲では分かりません。また⑤の参加者は開始時の痛みが低めで、立ち上がりの回数も過去の報告より多いと論文に書かれています。

資金について、⑤は日本学術振興会の科学研究費で、利益相反なしと記載されています。⑥は資金提供と利益相反ともになしと記載。⑦はオムロンヘルスケア株式会社が電気刺激の装置や測定機器を提供しており、論文は会社が研究の設計や解析に関与していないと記載しています。

読み取りに注意

⑥の方法の項目には「偽薬を使った比較試験」とありますが、割り付けの説明には偽薬の群が出てきません。また、運動だけの群は最初から21人と、他の群より少なく、ひざの変形が強い段階の人も20人中1人と少なめでした(他の群は33人中10人、27人中10人)。著者は人数の計算をしていない予備的な試験だと書いています。

結果③:有酸素運動より筋トレ? 週に何回?

日本の研究者が海外の試験を中心にまとめた2つの統合分析があります。数字は標準化平均差(=物差しの違う研究をそろえるための値で、マイナスが大きいほど痛みが軽くなったことを示す)です。

#分類試験数痛みの差(95%信頼区間)
⑨全体(8週までの短期)8−0.94(−1.31〜−0.57)
⑨座ったり寝たりして行う筋トレ−−1.42(−2.09〜−0.75)
⑨立って体重をかける筋トレ−−0.70(−1.05〜−0.35)
⑨有酸素運動−−0.45(−0.77〜−0.13)
⑩筋トレ・8週まで・週3回まで9−1.06(−1.50〜−0.61)
⑩筋トレ・9週以上・週3回まで4−0.23(−0.40〜−0.06)
⑩筋トレ・9週以上・週4回以上4−0.58(−0.78〜−0.37)
⑩有酸素運動・9週以上・週3回まで3−0.41(−0.62〜−0.21)

⑨は「短期間で痛みを軽くするなら、体重をかけない筋トレが一番大きい」と結論しています。⑩は、筋トレでは頻度と期間で差が出ており、9週以上続けるなら週4回以上のほうが差が大きいと報告しています。

ただし、これは別々の試験を分類して比べた結果で、同じ人たちを週3回と週4回に分けて比べたわけではありません。⑩の著者も、研究ごとの内容のばらつきが大きいこと、原因を特定できなかったことを限界として書いています。後で見る⑬は、運動の種類や回数による差を見つけられなかったと報告しています。

結果④:太ももの筋力が強い人は痛みが少ない。でも、筋トレをする人は痛みが多い?

#調査結果
⑪住民2152人(男性690人、女性1462人、平均71.6歳)。その場での測定太ももの筋力は、痛みのない人29.1kgf、痛みのある人23.9kgf(右ひざ)。筋力が5kgf高いごとに、痛みのある人の割合の目安(オッズ比)は0.83(0.78〜0.88)。足の筋肉の量には関連なし(2.59 vs 2.58kg/m²)
⑫高齢者1351人(3000人に依頼、回答52%)の調査自分の体重を使う筋力運動や、日常生活の中で筋力を使う活動を週2日以上している人は、ひざの痛みがある割合が高い

⑪は「筋肉の量ではなく筋力が痛みと関連する」という興味深い結果で、レントゲンで見たひざの変形の程度とは独立していたと報告されています。一方の⑫は、逆の向きに見える結果です。

どちらもある時点の調査なので、順序は分かりません。⑪は「痛いから太ももを使わなくなり、筋力が落ちた」のかもしれませんし、⑫は「痛いから運動を始めた」「普段から足を使う人だから痛くなった」のかもしれません。どちらの調査も、筋トレが痛みを軽くするか悪くするかを決められるものではありません。

結果⑤:だれでも同じように軽くなるわけではない

⑧は、太ももの筋トレをした試験50人の追加解析です。歩くときにひざが外側へ揺れる動き(外側スラストと呼ばれます)がある人とない人で分けると、揺れのない人のほうが痛みが大きく軽くなったと報告されています。要旨に具体的な数値はなく、人数も少ないので、これだけで「揺れのある人は筋トレをしても無駄」とは言えません。ただ、同じメニューで全員に同じ結果を期待しにくいことを示す一例です。

海外の検証:運動をしない人と比べるとどうか

ここまでの日本の試験に足りなかった「運動をしない人との比較」を、海外の2つの資料で確かめます。

#比べたもの結果
⑬運動 vs 何もしない・通常の診療(56試験・4184人)痛み(0〜100)で13.14点よい(10.36〜15.91)。確かさは低い
⑬運動 vs 偽の治療など(28試験・2873人)痛みで8.70点よい(5.70〜11.70)。確かさは低い
⑭高重量(最大の75〜90%)の筋トレ vs 勉強会(運動をしない比較群。60分の集まりを18か月で24回)18か月後の痛み(0〜20)5.1 vs 4.9、差は有意でなし(P=.61)
⑭高重量 vs 低重量(最大の30〜40%)の筋トレ5.1 vs 4.4、差は有意でなし(P=.08)

⑬は139試験をまとめた統合分析で、運動は痛みを軽くするだろうとしながら、本人が「よくなった」と感じる最低限の差(痛みで12点)と比べると、意味のある差かどうかははっきりしないと結論しています。多くの試験で参加者が自分の治療を知っていたことが、結果に影響した可能性も指摘しています。また、⑬は筋トレだけでなく陸上の運動全般をまとめたものです。

⑭は週3回・1回60分の筋トレを1年半続けた大規模な試験です。筋トレ群と勉強会の群で痛みに差はなく、ひざにかかる力の推定値にも差がありませんでした。著者は、勉強会の人でも痛みが33%軽くなったことが、差が出なかった理由の一つかもしれないと考察しています。

軽い副作用は高重量群53件、低重量群30件、勉強会の群4件でした。著者は、高重量で痛みが強まる可能性は否定できないとも書いています。一方で、レントゲンで見た病気の進み方を高重量の筋トレが悪化させることはなかったとも報告しています。⑭の参加者は米国の人たちで、多くが肥満であったと論文に書かれており、日本人にそのまま当てはまるとは限りません。資金は米国国立衛生研究所の助成です。

副作用:筋トレでひざの痛みが強まった人は12.0%

⑤には、日本人女性のデータとして筋トレに関する副作用が表で示されています。全75人のうち、筋肉痛が13人(17.3%)、ひざの痛みの悪化が9人(12.0%)、腰の痛みの悪化が10人(13.3%)でした。骨折や筋肉が壊れる重い副作用は0人です。

「安全だから我慢して続ける」のではなく、8人に1人くらいは痛みが強まる可能性があると知ったうえで、調整しながら進めるのが現実的だと考えられます。

この研究が言えないこと

  1. 日本の試験だけでは、運動そのものの効果の大きさは分かりません。この記事で読んだ日本の7つの試験には、運動をしない群がありません。「軽くなった」には自然な変化や期待の影響も含まれます。
  2. 「痛み止めと同じ」は証明されていません。①②は差が有意でなかったという報告で、同等性を確かめる設計かどうかは要旨から確認できていません。薬をやめてよいという意味でもありません。
  3. 海外の資料は日本人集団のデータではありません。⑨⑩⑬⑭の中心は海外の試験です。体格、生活様式(正座や床での生活など)、参加者の性別の割合が違います。
  4. 日本の試験の多くは女性です。②③④⑤⑥は女性のみで、男性にそのまま当てはまるかは分かりません。
  5. 軟骨が元に戻るかは分かりません。読んだ試験の多くは痛みや機能の質問票を見ており、軟骨が再生するかどうかを確かめたものではありません。⑭でもひざの関節の隙間は群を問わず年に4〜5%ほど狭くなっていました。
  6. どの運動が一番よいかは決まっていません。⑨⑩は種類や回数の差を報告し、⑬は差を見つけられていません。比べ方によって結論が変わる段階です。
  7. 長く続けた場合の効果ははっきりしません。多くが数週間から半年の試験です。⑤では終了9か月後に痛みの差が消え、⑭では18か月後に勉強会と差がありませんでした。
  8. 調査は順序を示しません。⑪⑫は同じ時点の調査で、筋力が痛みを減らすのか、痛みが筋力を落とすのかを区別できません。
  9. 人工関節の手術を避けられるかは、今回読んだ資料からは言えません。手術を減らすかを主な評価にした試験を、この記事では読んでいません。

実践の視点から

筆者はトレーニング歴約40年の実践者ですが、公的な資格は保有していません。以下は資料を読んだうえでの整理であり、指導ではありません。

① まず受診して、ひざの状態を確かめる。痛みの原因は変形性膝関節症だけではありません。今回の試験の多くは、レントゲンなどで診断された人を対象にしています。ひざに痛みがあって自己判断で高重量を始めるのは、資料の範囲を超えています。

② 高重量でなくていい。⑭では、高重量の筋トレは低重量や勉強会を上回りませんでした。⑥の家でのメニューは、足を床から10cmほど上げて5秒止める、といった負荷の軽い運動です。普段バーベルを担いでいる人でも、ひざに痛みがある間は重さを追う理由が資料からは見当たりません。

③ 試験で使われたメニューは家でできる。⑥は次の3種目を朝と夕方の2回、それぞれ20回でした。

④ 痛みが増えたら量を減らす。⑤では12.0%でひざの痛みが強まりました。⑨の結果を踏まえると、立って行う運動で痛むなら、座ったり寝たりして行う運動に切り替えるのは一つの選択肢だと考えられます。

⑤ サプリメントより先に運動。③⑥では、グルコサミンやビタミン剤を足しても運動だけの場合と差がありませんでした。グルコサミンについてはグルコサミンと膝|広告と科学のギャップで詳しく整理しています。

⑥ 期待の大きさを調整する。「筋トレをすればひざの痛みはなくなる」ではなく、「平均すると軽くなると報告されているが、その差は大きくなく、個人差がある」くらいが、今の資料に沿った理解だと思います。続けられる形で、痛みと相談しながら進めるのがよさそうです。

まとめ

「ひざの痛みは筋トレで軽くなるのか」への答えは、「平均すると軽くなると報告されているが、運動そのものの力は思われているより小さいかもしれない」です。

日本の試験では、家でできる軽い筋トレで、痛み止めや注射と同じくらい痛みが軽くなったと報告されています。ただし、どの試験にも運動をしない群がありませんでした。海外の統合分析では100点満点で約9〜13点の差にとどまり、高重量の筋トレを1年半続けた試験では勉強会と差がありませんでした。

費用がほとんどかからず、読んだ試験では重い副作用も報告されていないので、試す価値はあると考えられます。重さを追わず、痛みが強まったら減らし、医師と相談しながら進める。その範囲で期待するのが、今の資料から言えることです。

腰の痛みについては筋トレで腰痛は軽くなる?日本と海外の7つの研究で、軽い負荷の筋トレで筋肉が増えるかについては軽い筋トレでも筋肉は増える?高齢者2つの実験で整理しています。

出典(一次資料)

  1. Doi T, Akai M, Fujino K, Iwaya T, Kurosawa H, Hayashi K, Marui E. Effect of home exercise of quadriceps on knee osteoarthritis compared with nonsteroidal antiinflammatory drugs: a randomized controlled trial. Am J Phys Med Rehabil. 2008;87(4):258-269. doi:10.1097/phm.0b013e318168c02d 要旨(Europe PMC)
  2. Kawasaki T, Kurosawa H, Ikeda H, et al. Therapeutic home exercise versus intraarticular hyaluronate injection for osteoarthritis of the knee: 6-month prospective randomized open-labeled trial. J Orthop Sci. 2009;14(2):182-191. doi:10.1007/s00776-008-1312-9 要旨(Europe PMC)
  3. Kawasaki T, Kurosawa H, Ikeda H, et al. Additive effects of glucosamine or risedronate for the treatment of osteoarthritis of the knee combined with home exercise: a prospective randomized 18-month trial. J Bone Miner Metab. 2008;26(3):279-287. doi:10.1007/s00774-007-0813-5 要旨(Europe PMC)
  4. Kudo M, Watanabe K, Otsubo H, et al. Analysis of effectiveness of therapeutic exercise for knee osteoarthritis and possible factors affecting outcome. J Orthop Sci. 2013;18(6):932-939. doi:10.1007/s00776-013-0443-9 要旨(Europe PMC)
  5. Mitoma T, Ooba H, Takahashi K, et al. Oestrogen replacement combined with resistance exercise in older women with knee osteoarthritis: a randomised, double-blind, placebo-controlled clinical trial. Age Ageing. 2025;54(8):afaf224. doi:10.1093/ageing/afaf224 全文(PMC12342371)
  6. Kanazawa H, Kurosawa H, Nagao M, et al. Additive effects of active vitamin D3 or vitamin E administration on therapeutic lower-limb home exercise for knee osteoarthritis: a pilot prospective randomized controlled trial. Medicine (Baltimore). 2026;105(42):e51197. doi:10.1097/md.0000000000051197 全文(PMC13681127)
  7. Katagiri N, Kawashima K, Hamasuna M, Motoyama M, Yamaguchi T. Effects of TENS with home exercise improve pain and muscle strength in older adults with pre-radiographic to mild knee osteoarthritis. Sci Rep. 2025;15(1):39992. doi:10.1038/s41598-025-23670-z 全文(PMC12618572)
  8. Iijima H, Aoyama T. Varus thrust assessment identified responders to quadriceps exercise in individuals at risk of or with knee osteoarthritis. Med Sci Sports Exerc. 2024;56(12):2267-2274. doi:10.1249/mss.0000000000003526 要旨(Europe PMC)
  9. Tanaka R, Ozawa J, Kito N, Moriyama H. Efficacy of strengthening or aerobic exercise on pain relief in people with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Clin Rehabil. 2013;27(12):1059-1071. doi:10.1177/0269215513488898 要旨(Europe PMC)
  10. Tanaka R, Ozawa J, Kito N, Moriyama H. Effect of the frequency and duration of land-based therapeutic exercise on pain relief for people with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Phys Ther Sci. 2014;26(7):969-975. doi:10.1589/jpts.26.969 全文(PMC4135217)
  11. Muraki S, Akune T, Teraguchi M, et al. Quadriceps muscle strength, radiographic knee osteoarthritis and knee pain: the ROAD study. BMC Musculoskelet Disord. 2015;16:305. doi:10.1186/s12891-015-0737-5 全文(PMC4609096)
  12. Harada K, Shibata A, Oka K, Nakamura Y. Association of muscle-strengthening activity with knee and low back pain, falls, and health-related quality of life among Japanese older adults: a cross-sectional survey. J Aging Phys Act. 2015;23(1):1-8. doi:10.1123/japa.2013-0038 要旨(Europe PMC)
  13. Lawford BJ, Hall M, Hinman RS, et al. Exercise for osteoarthritis of the knee. Cochrane Database Syst Rev. 2024;12:CD004376. doi:10.1002/14651858.cd004376.pub4 全文(PMC11613324)
  14. Messier SP, Mihalko SL, Beavers DP, et al. Effect of high-intensity strength training on knee pain and knee joint compressive forces among adults with knee osteoarthritis: the START randomized clinical trial. JAMA. 2021;325(7):646-657. doi:10.1001/jama.2021.0411 全文(PMC7887656)
  15. 日本整形外科学会「変形性膝関節症」(2026年10月31日確認)

よくある質問

ひざが痛いときに筋トレをしてもいいですか?

日本の試験では、家での軽い筋トレで痛みが軽くなったと報告されており、読んだ試験では重い副作用も報告されていません。ただし筋トレでひざの痛みが強まった人が12.0%いた試験もあります。急に腫れた、熱を持っている、けがのあとから痛いといった場合は、まず整形外科を受診してください。

筋トレは痛み止めの代わりになりますか?

日本の試験では、太ももの筋トレをした人と痛み止めを使った人で、8週間後の変化に有意な差はありませんでした。ただし同等であると証明されたわけではなく、薬をやめてよいという意味でもありません。薬の変更は医師に相談してください。

重いほうが痛みは軽くなりますか?

米国で377人を18か月追った試験では、高重量の筋トレは、低重量の筋トレや勉強会を上回りませんでした。高重量で痛みが強まる可能性も否定できないと著者は書いています。ひざに痛みがある間は、重さを追う根拠は今の資料からは見当たりません。

どんな運動をどのくらいすればいいですか?

日本の試験の一つでは、足を伸ばして上げる、横向きで足を上げる、ひざでボールを挟むという3種目を、朝と夕方に20回ずつ、24週間行いました。週に何回が一番よいかは研究によって結論が違い、個人差があると考えられます。

グルコサミンを足すと効果は増しますか?

順天堂大学の女性142人の試験では、家での運動にグルコサミンを足しても、18か月後の痛みと機能に差はありませんでした。ビタミンDやビタミンEを足した別の試験でも、痛みに差はありませんでした。

筋トレでひざの軟骨は元に戻りますか?

今回読んだ試験の多くは痛みや機能を測ったもので、軟骨の再生を確かめたものではありません。米国の試験では、関節の隙間は筋トレをした人でもしない人でも同じように狭くなっていました。軟骨が元に戻るとは言えません。

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