研究ノート・1日3秒の筋トレ

1日3秒の筋トレで筋力はつく?日本の8つの試験

公開日: 2026-10-06 · 約16分で読めます

ヒロ

執筆・編集:ヒロ

ボディメイク・筋力トレーニング/体組成分析/減量・栄養・睡眠を、科学的エビデンスと実体験から発信。

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この記事の要点

  • 「1日3秒の筋トレ」は、新潟医療福祉大学などの研究チームが2022年に発表した試験がもとになっています。筋トレをしていない若い人が、力こぶの筋肉(肘を曲げる筋肉)で「全力で抵抗しながら3秒かけて腕を伸ばされる」動作を1日1回だけ、週5日・4週間行ったところ、筋力が平均で約10〜13%伸びたと報告されています。
  • 同じ3秒でも、持ち上げる動作だけ・止めて力を入れるだけのグループは、伸びた筋力が一部に限られました。鍵は「下ろす動作(筋肉が引き伸ばされながら力を出す動作)」だとされています。
  • 一方で、同じ1回を週2日に減らすと筋力は伸びず、週3日では伸びが小さくなりました。また1日1回だけでは筋肉の厚みは増えていません。筋肉を太くするには、1日6回・週5日、または1回5回を週2日など、もう少し量が要るという結果でした。
  • 試験の多くは専用の測定機器を使い、全力で行うやり方で、参加者は各グループ12〜13人ほどの若い人です。家で「3秒ゆっくり下ろす」だけで同じ結果になるとは言えません。
  • 高齢者が自体重の運動で下ろす動作を3秒にしたか5秒にしたかを比べた試験では、効果に差はなく、途中でやめた人は5秒のほうが多かったと報告されています。

「1日3秒で筋肉が強くなる」という話を見かけたことがある人もいると思います。忙しくて筋トレの時間が取れない人にとっては、夢のような話です。

一方で、このブログを含め、筋トレの解説では「同じ部位は中1〜2日あけるのが目安」とよく書かれます。毎日同じ筋肉を鍛える「1日3秒」は、この目安と食い違っているようにも見えます。

この記事では、「1日3秒」の元になった試験と、その後に同じ研究チームが続けた試験を一次資料で順に読み、何が分かっていて、何がまだ分かっていないのかを整理します。

読む一次資料

#資料(掲載誌)中身入手性
①Sato S, et al. "Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength." Scand J Med Sci Sports 2022;32(5):833-843「1日3秒」の元の試験。下ろす・持ち上げる・止める、の3通りを比べた(各13人+運動なし10人)抄録のみ確認
②Yoshida R, et al. "Greater effects by performing a small number of eccentric contractions daily than a larger number of them once a week." Scand J Med Sci Sports 2022;32(11):1602-16141日6回を週5日、6回を週1日、30回を週1日の3通りを比べた(各12人)抄録のみ確認
③Yoshida R, et al. "Weekly minimum frequency of one maximal eccentric contraction to increase muscle strength of the elbow flexors." Eur J Appl Physiol 2024;124(1):329-3391日1回を週2日・週3日に減らしたらどうなるか(各13人)抄録のみ確認
④Yoshida R, et al. "Minimum Intensity of Daily Six Eccentric Contractions to Increase Muscle Strength and Size." Scand J Med Sci Sports 2024;34(6):e14683ダンベルを使い、重さを全力の3分の2・3分の1に下げたらどうなるか(各12人)抄録のみ確認
⑤Sato S, et al. "Effective number of maximal eccentric contractions in the early phase of twice-weekly training..." Eur J Appl Physiol 2026;126(3):1815-1824週2日なら1回に何回やればよいか(5回・15回、各12人)抄録のみ確認
⑥Nakamura M, et al. "Comparison between concentric-eccentric and concentric-only plantar flexor exercise training with body weight..." Eur J Appl Physiol 2025;125(9):2625-2635自体重のかかと上げで、片脚だけ3秒かけて下ろした(男性15人+運動なし10人)抄録のみ確認
⑦Katsura Y, et al. "Eccentric contraction duration in bodyweight resistance exercise training for changes in physical function and health parameters of older adults." Eur J Appl Physiol 2026高齢者46人が自体重の運動で、下ろす動作を3秒にするか5秒にするかを比べた抄録のみ確認
⑧Sato S, et al. "Cross-education and detraining effects of eccentric vs. concentric resistance training of the elbow flexors." BMC Sports Sci Med Rehabil 2021;13(1):105下ろす動作だけ/持ち上げる動作だけで5週間鍛え、その後5週間休んだ(各9人+運動なし13人)全文無料(PMC8419922)
⑨佐藤成, 中村雅俊(英題 "Resistance Training Prescription Focusing on Joint Angle and Muscle Contraction Type")基礎理学療法学 2024;27(1):62-67研究チーム自身による日本語の解説(総説)全文無料(J-STAGE)

①〜⑥と⑧は、同じ研究チームの論文です。中心は佐藤成先生(①⑧の発表時は新潟医療福祉大学)と中村雅俊先生(①⑧の発表時は新潟医療福祉大学、②以降の論文では西九州大学リハビリテーション学部)らで、オーストラリアのエディスコーワン大学の研究者も共著者に入っています。⑦は工学院大学・慶應義塾大学などの研究チームによる試験で、中村先生とエディスコーワン大学の研究者が共著者に加わっています。つまり、この記事の根拠はほぼ1つのグループから出ています。

研究資金は、論文データベースの記載で④が石本記念デサントスポーツ科学振興財団、⑥が笹川スポーツ研究助成、⑦が日本学術振興会の科学研究費です。⑧は「研究資金なし・利益相反なし」と明記しています。①②③⑤は抄録とデータベースからは資金や利益相反の記載を確認できませんでした。

設計──「3秒」とは何をする3秒なのか

筋肉の力の出し方には3種類あります。

①の試験では、関節の動きを一定の速さで制御する専用の測定機器を使いました。下ろす動作のグループは、機器が肘を曲がった位置(100度)から伸びた位置(10度)まで毎秒30度で動かすのに対し、全力で逆らうというやり方です。90度を毎秒30度で動くので、計算上ちょうど3秒になります。これを1日1回、週5日・4週間(計20回)行い、最後の回から数日後に筋力と筋肉の厚み(超音波で測る上腕二頭筋と上腕筋の厚み)を測りました。

参加者は、ふだん筋トレをしていない若い人です。つまり「3秒」は「ゆっくり下ろす3秒」ではなく、「機械に引き伸ばされる腕に全力で逆らう3秒」だった点を、最初に押さえておく必要があります。

結果①──下ろす動作の3秒だけで、筋力が伸びた

グループ(①・4週間後)止めて出す力持ち上げる力下ろす力筋肉の厚み
下ろす動作を1日3秒+10.2%+12.8%+12.2%変化なし
持ち上げる動作を1日3秒+6.3%有意な変化なし有意な変化なし変化なし
止めて力を入れる3秒有意な変化なし有意な変化なし+7.2%変化なし
運動なしいずれも変化なし

※「止めて出す力」は3つの角度の平均、「持ち上げる力」は2つの速さの平均。数値は抄録の平均値。

下ろす動作のグループだけが、3種類すべての筋力で有意に伸びました。ほかの2グループは、1種類の筋力が伸びただけです。著者らは「1日1回3秒の全力の収縮で筋力は伸び、中でも下ろす動作が最も強い効果を示した」と結論しています。

ただし、どのグループでも筋肉の厚みは変わっていません。1日3秒で伸びたのは「力」であり、「筋肉の大きさ」ではありません。短期間の筋力の伸びには、筋肉そのものが太くなる以外に、神経が筋肉をうまく使えるようになる変化も関わるとされています。

結果②──回数と頻度を変えるとどうなるか

研究チームはその後、回数・頻度・重さを変えた試験を続けました。いずれも肘を曲げる筋肉で、4週間の試験です。

試験やり方筋力筋肉の厚み
②1日6回・週5日3種類とも伸びた(+9.3〜13.5%)+10.4%
②30回を週1日にまとめて有意な変化なし+8.0%
②6回を週1日だけ変化なし変化なし
③1日1回・週3日持ち上げる力+2.5%、下ろす力+3.9%(週5日より小さい)変化なし
③1日1回・週2日変化なし変化なし
⑤1回に5回・週2日3種類とも伸びた(+7.0〜9.7%)+5.4%
⑤1回に15回(5回×3セット)・週2日3種類とも伸びた(+5.1〜8.7%)+8.1%

※数値は各論文の抄録の平均値。

ここから読み取れるのは次の3点です。

なお、③と⑤では、比べる相手のうち一部(週5日・1日1回のグループなど)は以前の試験の参加者のデータを使っています。同じ時期に同時に振り分けて比べたものではありません。

結果③──ダンベルや自体重でも成り立つか

①〜③と⑤は専用の測定機器を使いましたが、家庭やジムで同じことはできません。そこで研究チームは、身近な道具での試験も行っています。

⑥は「1日3秒」ではなく、1回ごとの下ろす動作を3秒にした普通の筋トレで、最後は1回70回という量です。⑦も運動しないグループを置いていないため、改善の幅のうちどこまでが運動によるものかは、この試験だけでは判断できません。

⑧(全文無料)は、下ろす動作だけ・持ち上げる動作だけで週2回・5週間鍛えた後、5週間休んだ試験です。鍛えた腕の筋力はどちらも同じくらい伸びました(止めて出す力 +22.5% と +26.0%)。休んだ後、下ろす動作で鍛えた腕は止めて出す力が保たれ、持ち上げる動作で鍛えた腕は元の水準に戻ったと報告されています(持ち上げられる最大の重さは、どちらも保たれていました)。筋肉の厚みが増えたのは、下ろす動作のグループだけでした(+7.1%)。また、下ろす動作のグループでは3〜9回目の運動の後に軽い筋肉痛が出ています。

読み取りに注意したい点

②の「1日6回・週5日」のグループの数値は、②の抄録では「止めて出す力 +9.3%・筋肉の厚み +10.4%」ですが、④の抄録が同じグループを紹介する箇所では「+8.3%・+10.6%」となっています。どちらも「伸びた」という向きは同じですが、引用する際は出典ごとに数値が異なる点に注意が必要です。

また③の「週3日」の持ち上げる力 +2.5%は、ばらつき(±10.4%)が平均より大きい数値です。抄録では統計的に有意とされていますが、伸びの幅は小さいと読むのが妥当と考えられます。

この研究が言えないこと

  1. 「家で3秒ゆっくり下ろすだけで筋力がつく」とは言えません。「1日3秒」の試験(①③)は、専用の機器に全力で逆らうやり方です。ダンベルで確かめた④は1日6回で、重さも機器で測った全力を基準に決めています。
  2. 「1日3秒で筋肉が太くなる」とは言えません。1日1回のやり方では、どの試験でも筋肉の厚みは増えていません(①③)。
  3. 対象は主に、筋トレをしていない若い人です。ふだんから鍛えている人で同じ伸びが出るかは調べられていません。⑨の総説でも、鍛えている人・高齢者・病気のある人での検証が今後の課題とされています。
  4. ほとんどが肘を曲げる筋肉だけの試験です。脚や体幹など、ほかの筋肉で同じことが起きるかは⑥⑦を除いて確かめられていません。
  5. 多くは4週間の短い試験です(長いものでも⑦の10週間)。何か月も続けたときに伸びが続くのか、頭打ちになるのかは分かりません。
  6. 各グループ12〜13人ほどの小さな試験で、根拠のほとんどが同じ研究チームから出ています。別のグループによる追試が待たれる段階です。また③⑤では、比べる相手の一部が以前の試験の参加者です。
  7. 「同じ部位は中1〜2日あける」という目安を否定するものではありません。これらの試験で毎日行ったのは1日1〜6回というごく少ない量です。普通のセット数の筋トレを毎日同じ部位に行ったときの結果は、この研究からは分かりません。
  8. 一般の人を代表する集団ではありません。日本の大学で行われた試験ですが、参加者の多くは大学生などの若い人に限られています。

実践の視点から

筆者はトレーニング歴約40年の実践者ですが、公的な資格は保有していません。以下は資料を読んだうえでの整理であり、指導ではありません。

一連の研究から私が受け取ったメッセージは、「3秒で十分」ではなく、「下ろす動作を雑にしないこと」の価値です。ジムでは、重りを持ち上げることに集中し、下ろすときは重力に任せてしまう人をよく見かけます。①と⑥を見る限り、同じ時間・同じ回数をこなすなら、下ろす動作に力を込めたほうが得るものは大きい可能性があります。ただし⑧のように、ふつうの量で5週間鍛えた試験では、下ろす動作と持ち上げる動作で筋力の伸びに差が出なかった例もあります。

家で取り入れるなら、研究に近い形として次のようなものが考えられます。

注意点として、下ろす動作は筋肉痛を起こしやすい動きとされています。⑧でも下ろす動作のグループに軽い筋肉痛が出ています。最初から全力で行わず、軽めから始めるのが無難だと考えます。関節に痛みがある方や持病のある方は、始める前に医師に相談してください。

もう一つ大切なのは、「1日3秒」は筋トレの代わりではなく、時間が取れない日の「ゼロよりはまし」の選択肢だという位置づけです。筋肉を太くしたい人にとっては、②⑤の結果のとおり、ある程度の回数が必要だと考えられます。効果の出方には個人差があります。

まとめ

出典(一次資料)

  1. Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, Sasaki Y, Yahata K, Nosaka K, Nakamura M. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022;32(5):833-843. doi:10.1111/sms.14138(PMID 35104387)
  2. Yoshida R, Sato S, Kasahara K, Murakami Y, Murakoshi F, Aizawa K, Koizumi R, Nosaka K, Nakamura M. Greater effects by performing a small number of eccentric contractions daily than a larger number of them once a week. Scand J Med Sci Sports. 2022;32(11):1602-1614. doi:10.1111/sms.14220(PMID 35908200)
  3. Yoshida R, Kasahara K, Murakami Y, Sato S, Tanaka M, Nosaka K, Nakamura M. Weekly minimum frequency of one maximal eccentric contraction to increase muscle strength of the elbow flexors. Eur J Appl Physiol. 2024;124(1):329-339. doi:10.1007/s00421-023-05281-6(PMID 37505230)
  4. Yoshida R, Murakami Y, Kasahara K, Sato S, Nosaka K, Nakamura M. Minimum Intensity of Daily Six Eccentric Contractions to Increase Muscle Strength and Size. Scand J Med Sci Sports. 2024;34(6):e14683. doi:10.1111/sms.14683(PMID 38898582)
  5. Sato S, Yoshida R, Murakami Y, Kasahara K, Nosaka K, Nakamura M. Effective number of maximal eccentric contractions in the early phase of twice-weekly training to increase muscle strength and thickness of the elbow flexors in untrained young adults. Eur J Appl Physiol. 2026;126(3):1815-1824. doi:10.1007/s00421-025-06023-6(PMID 41108382)
  6. Nakamura M, Kamazawa T, Sato S, Yosida R, Nosaka K. Comparison between concentric-eccentric and concentric-only plantar flexor exercise training with body weight for changes in muscle strength, range of motion, and muscle architecture. Eur J Appl Physiol. 2025;125(9):2625-2635. doi:10.1007/s00421-025-05782-6(PMID 40229595)
  7. Katsura Y, Takeda N, Inami T, Yamaguchi S, Takahashi S, Nakamura M, Nosaka K. Eccentric contraction duration in bodyweight resistance exercise training for changes in physical function and health parameters of older adults. Eur J Appl Physiol. 2026. doi:10.1007/s00421-026-06443-y(PMID 42762322)
  8. Sato S, Yoshida R, Kiyono R, Yahata K, Yasaka K, Nosaka K, Nakamura M. Cross-education and detraining effects of eccentric vs. concentric resistance training of the elbow flexors. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2021;13(1):105. doi:10.1186/s13102-021-00298-w 全文(PMC8419922)
  9. Sato S, Nakamura M. Resistance Training Prescription Focusing on Joint Angle and Muscle Contraction Type(本文は日本語). 基礎理学療法学. 2024;27(1):62-67. doi:10.24780/jjptf.JJPTF_2024_S3 全文(J-STAGE)

よくある質問

本当に1日3秒の筋トレで筋力はつくのですか?

筋トレをしていない若い人が、専用の機器に全力で逆らいながら腕を伸ばされる動作を1日1回・週5日・4週間行った試験で、肘を曲げる力が約10〜13%伸びたと報告されています。ただし各グループ13人ほどの小さな試験で、家でゆっくり下ろすだけで同じ結果になるかは分かっていません。効果には個人差があります。

1日3秒で筋肉は太くなりますか?

1日1回のやり方では、筋肉の厚みは増えていません。筋肉の厚みが増えたのは、1日6回を週5日行ったグループや、1回5回を週2日行ったグループでした。

なぜ「下ろす動作」なのですか?

同じ1日3秒でも、持ち上げる動作や、止めて力を入れる動作のグループでは、伸びた筋力は1種類だけでした。下ろす動作のグループだけが3種類すべての筋力で伸びたため、研究チームは下ろす動作の効果が最も強いと結論しています。

週2〜3回でも効果はありますか?

1日1回のやり方では、週2日では筋力は伸びず、週3日では伸びが小さかったと報告されています。一方、週2日でも1回に5回行ったグループでは、筋力も筋肉の厚みも増えたとされています。

高齢者でも下ろす動作をゆっくりにしたほうがよいのですか?

平均77歳の46人が自体重の運動で、下ろす動作を3秒にするか5秒にするかを比べた試験では、効果に差はありませんでした。途中でやめた人は5秒のグループのほうが多かったと報告されています。運動をしないグループは置かれていません。持病のある方は医師に相談してください。

毎日同じ筋肉を鍛えても大丈夫なのですか?

これらの試験で毎日行ったのは1日1〜6回というごく少ない量です。普通のセット数の筋トレを毎日同じ部位に行ってよいかは、この研究からは分かりません。下ろす動作は筋肉痛を起こしやすいとされるので、軽めから始めるのが無難と考えられます。

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